皆さんこんにちは,司法書士講師の三枝りょうです。
東京法務局城北出張所に行ってまいりました。
りょうこ先生の生活圏である江戸川区西葛西は,ほぼ千葉県ですけれども,城北出張所のある東京メトロ千代田線綾瀬駅は,ほぼ埼玉県です。僻地です。
他の司法書士に 『綾瀬は遠いー。』 とメールをしたら,『綾瀬はるか』 と返信が来たときは腹が立ちましたけれども。
何でもかんでもネット/オンライン,もう2020年になろうというこのご時世に司法書士が法務局に足を運ぶ理由はただ一つ,『補正』 です。ほせい。
簡単に申し上げると登記官にダメ出し食らって直しに行くというあれです。
ここから先は司法書士受験生さましか分からない話になりますけれども,まあお付き合いください。
商号変更の登記。一般的に言うところの 『社名変更』 です。
司法書士講座の商業登記法の科目に入るとまあまあ初めの頃に習う単元です。
申請書も添付書類もまったく難しくありません。強いて申し上げると,冒頭部分に変更前の 『旧商号』 を表記する,くらいでしょうか。ソフトが自動でやってくれるので合格後は1ミリも気にしたことがありませんけれども。
実際の世界では,商号変更の登記に伴い,ほぼ確実にする手続があります。
さて何でしょうか。もちろん登記絡みで,司法書士が担当するお仕事です。
司法書士受験生さまは先を急がずちょっと考えてみてください。
正解は,『印鑑届(改印届)』 です。
一般人が所有している,いわゆる 『個人実印』 は,普通の○の中に自身の氏名,女性の場合 『名のみ』 だったりしますけれども,名前が文字が刻まれています。
対して,『会社実印』 の多くは,二重丸,って形状が分かりますでしょうか,その昔,りょうこ先生が小学生だった頃,この二重丸の上に傍線をビャーっと引いて,周りにチョンチョンチョンと短い線を6本引いて,『オンナのアソコ!』 とか言って,訳も分からず盛り上がっていたあの図形から棒とチョンチョンチョンを取り除いた形です。
◎です。
◎の内側は決まって 『代表取締役印』 としてあり,外周には当該会社の商号が刻まれています。
そうです,社名が変わったのに,ハンコがそのままでは(法的に問題なくても)格好が悪いため,ほぼ100%,会社実印を代えてくれ,という話になります。
小さい会社だとそこまで気が回らないことも多いので,商号変更登記の依頼を受けたときは,『ハンコどうする?』 と必ず確認することになります。
で。です。それ自体もさして難しい手続ではないのですが,注意すべきは 『印鑑証明書』 です。
当該手続は,『会社の実印の登録』 時に 『代表者個人の印鑑証明書』 をつけるという,文字で書くと少々ややこしい手続です。
何故かこの手続に添付する印鑑証明書だけは 『作成後3か月以内のモノじゃなきゃ死刑』 なるルールがあります。
りょうこ先生だってアホではないので,受領時に必ず確認します。
が,しかし,『一人会社』 の場合,たまにあるのですが,書類一式預かったものの,日付はブランクになっていて,『申請はちょっと待っとってくれ』 と。
その会社のたった一人の株主が,『今でしょ!』 と言った日が 『決議の日』 と解することは可能なので,お盆に預かった書類をつい先日まで金庫に保管しておりました。
で。です。3か月なんてあっという間です。
城北出張所から連絡があり 『古くて死刑なんですけど。』 と。
これもですね,フツーは,クライアントに事情を話して新しい印鑑証明書を取得してもらって,それを城北出張所に追っかけで送付(追送)して,はい終了です。
当方の致命的ミスという訳でなし,丁寧に説明すれば,クライアントも(めんどいなーと思いつつも)協力してくれます。
新たに取得してもらった印鑑証明書が当方宛に届きました。
問題です。印鑑証明書には,個人情報として 『印影』 の他,何が記載されているでしょうか。
司法書士受験生さまは,印鑑登録をして,自身の印鑑証明書を取得してみることを勧めます。実物に接することは試験に役に立ちます。
正解は, 『氏名』 と 『住所』 です。
たまに生年月日が載っているものもあったりなかったりします。
あれ?と。
お盆の時に預かった印鑑証明書と,新しい印鑑証明書と,住所が違うじゃないかと。
確認したところ,『引っ越ししました。』 と。マジかと。
株式会社の代表取締役は,『住所』 が登記事項です。
オンライン申請ですから,申請書はデータを修正して再送信すれば用は足りますけれども,既に提出済みの添付書類の委任状には,『当会社の本店の移転の登記の申請に関する一切の件』 としか記載がありません。
『代表取締役の住所の変更の登記に関する一切の件』 というたった一行の文言を書き足すためだけに,遠路はるばる綾瀬へ足を運ぶというですね,青森の法務局じゃなくてホント良かったなと思う訳ですけれども。
何ですかこれは。
この地を補正に訪れた SNS をやっている司法書士は,必ず撮影してアップしていることでしょう。
まあそれくらいしかすることがありません。
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プチまな